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大学の置かれた環境、時代や社会の変化とともに、つねに進化し機能を積み上げてきた大学図書館システム。
しかし、人員・コスト削減や、スタッフの頻繁な異動が行われる現代の大学図書館にとっては、「複雑で使いきれない」ものに映ってしまうことも。
今回、Zenkenの図書館システム図鑑編集チームが訪問したのは、ユーザビリティ(使いやすさ)をコンセプトに掲げる大学図書館システム「ネオシリウス・クラウド」の開発元、NJCの本社。
実機デモの操作画面を見ながら、他の図書館システムとの違いや、NJCの考える、使いやすい(使い続けられる)システムについて伺いました。
システムについて語っていただいたのは、NJCで長年、全国の大学図書館の業務・サービスの課題解決にシステム面から携わっている、NJC文教ソリューション部のマネージャー加藤氏。
Zenken:記者
本日は「ネオシリウス・クラウド」の実機デモの機会をいただき、ありがとうございます。
よろしくおねがいいたします。
さっそくですが、図書館システムの開発や導入支援を行う中で、NJCが考える「使いやすさ」とは具体的にどんなものですか?
NJC:加藤氏
ユーザビリティが最も大事と考えています。
大学図書館に訪れる、新入生から教員まで幅広いレベルの利用者に対応し、
別段使い方を教わらなくても、直感的に操作できるインターフェースであることが重要と考えています。
NJC:加藤氏
図書館のポータルサイトの各機能には、機能ごとにヘルプボタンを搭載しているので、説明書を読まずに、画面を触りながら操作に慣れることができます。
NJC:加藤氏
「日、英」2ヶ国語対応の図書館システムが多い中、「日、英、中、韓」の4ヶ国語に対応。
ポータルサイトのトップページはもちろん、ヘルプ画面や下層ページまで、選択した言語に切替表示できます。
NJC:加藤氏
本の名前がわからなくても、なんとなくのキーワードで目的の本がみつかる「ファセット検索」。
左側のナビゲーションで条件を追加し、適当なキーワードで大量にヒットした検索結果を、リアルタイムで絞り込んでいけます。
NJC:加藤氏
通常、図書の分類は英数字等で行われているので、ぱっと見で内容がわかりません。
ネオシリウスでは「芸術.スポーツ→音楽→楽器.器楽」といったように、分類の視覚的な絞り込みが可能。大学オリジナルの分類も登録できるので、専門的な分野の資料探しでも威力を発揮します。
Zenken:記者
Googleのような検索に慣れている今の利用者にとって、目的の情報まで直感的で簡単にたどり着けることが、使いやすく感じるポイントになりそうですね。
Zenken:記者
大学図書館の多様な業務。システムを利用する職員は、専任職員以外に、委託職員や学生アルバイトなど、知識や経験の差が広がっていると聞きます。
専門知識の浅い職員でも使えるシステムはどういったものでしょうか?
NJC:加藤氏
システムの導入検討時に、自館の課題や要望と、提案されたシステムのズレをいかに無くしておけるかも重要です。
大学図書館は規模や専門性によっても、必要とする機能や、抱えている業務課題は様々です。
図書館システム業者と図書館とのコミュニケーションがきちんと取れることで、移行作業や、移行後の図書館業務を円滑に行えます。
Zenken:記者
図書館とのコミュニケーションで、NJCが特に気を付けていること、大切にしているポイントはありますか?
NJC:加藤氏
使いやすい図書館システムのために、弊社は導入検討時から導入後までの各フェーズで、お客様とのコミュニケーションを重要視しています。
図書館システムの導入検討のフェーズでは、まず詳細な運用ヒアリング(アセスメント)をおこなっています。
それをもとに、このようなアセスメントレポート※を作成し、必要な機能や調整を提案させていただきます。
NJC:加藤氏
図書館の現行の課題を抽出して弊社の提案システムとの「フィット&ギャップ」分析を実施した上で、ご契約となるためスムーズなシステム移行が可能です。
他社でよく発生すると聞く「導入作業開始後の追加カスタマイズが判明」といったことが起こりづらいのが、弊社の導入作業の特徴です。
※ [PDF] NJCが図書館に提出する「アセスメントレポート」(抜粋版サンプル)
NJC:加藤氏
導入作業の中で一番ボリュームの多い作業がデータ移行ですが、データの移行はある程度弊社にお任せいただけます。これは、多くの大学図書館で扱う資料のデータフォーマットはほとんど決まっているからです。
むしろ、移行の難易度が高いのは、その大学独自で資料に紐づけた情報(購入金額・予算・経緯、配架場所・申し送り事項、利用履歴など)。
こういった大学独自の情報の移行をどのように行うか、お客様と相談をさせていただきながら、整理して進めていきます。
Zenken:記者
とくに専任職員のいない図書館では、課題に対する合理的な解決策を一緒に考えてくれるNJCの姿勢は、納得してシステムを導入できる大切なポイントですね。
NJC:加藤氏
図書館ポータルサイトは、更新や軽微な修正のたびに大学の広報部のような別部門に依頼が必要となる運用では、更新の頻度やスピードが下がってしまいます。
利用者が更新を楽しみにアクセスできるページにするには、簡単に手間なく自分たちで更新できるシステムが大切です。
NJC:加藤氏
また、定期的・または突発的に発生する、データの抽出やレポート報告も、大学図書館の業務。
こういったデータの取り扱いについても、図書館内で対応ができると、外部への問い合わせや依頼の必要がなくなり、コミュニケーション齟齬も減らせます。
NJC:加藤氏
大学図書館ポータルサイトの更新は、管理画面から行えます。
更新のために別のシステムを立ち上げたり、他部署への更新依頼を都度行う必要がありません。
開館日カレンダーなどの更新はもちろん、ニュースや、特集コーナーの更新も、Word感覚で文字の装飾、画像追加が可能。
図書館でリアルに行っている展示コーナーを、ポータルサイト上でも簡単に再現できます。
NJC:加藤氏
ネオシリウス・クラウドは、大学内の様々なシステムや認証サービスと連携が可能。
学生や教員は、複数のアカウントを管理する必要がなくなります。
日常的にログインする大学共通の「ID/PASS」をつかって、図書館の利用者個人のページにもシームレスにアクセスできます。
NJC:加藤氏
各社の認証サービスは、日々種類が増え、変化をしていますが、定期バージョンアップや、有償サポートによって対応できるのがネオシリウス・クラウドの強みです。
Zenken:記者
情報発信する側の図書館と情報を取りに行く利用者、それぞれの負担が極力減らせれば、図書館と利用者の間にリアルタイムで身近なコミュニケーションが生まれそうですね。
NJC:加藤氏
大学運営側や教員から依頼される、データ抽出、報告の依頼も、図書館業務のひとつです。
依頼の内容は、指定条件での四半期ごとの定期報告、突発的な数値比較の提出、ある分野に対しての一覧の抽出など。
ネオシリウス・クラウドは、システム内の全ての情報を、業務画面の操作のみで簡単に取り出すことが可能です。
NJC:加藤氏
外部ファイルの取り込みやデータ連携についても、幅広く対応しています。
などのデータを一括取り込み、処理が行えます。
手入力にかかる時間や手間、ミスを大きく削減できます。
Zenken:記者
扱うデータの種類も量も多い大学図書館だからこそ、データの取り扱いを自館内で行えると、業務の効率が大きく上がりそうですね。
NJC:加藤氏
直近の例だと、新NACSIS-CAT/ILLへの切り替え(NIIの仕様変更)のような、業界全体に影響する大掛かりな変更への対応など。
時代の変化に併せて、サービスが常にアップデートされていくことが大事だと考えています。
NJC:加藤氏
標準プランに含まれるバージョンアップ提供の中身は、環境要因(NIIの仕様変更や、OSの変更など)による改修や、利用者の要望に対する対応。
常に最新のネオシリウスを追加費用なしで使うことが可能です。
NJC:加藤氏
バージョンアップのたびに、お客様への機能説明(打ち合わせ)を行うようにしています。
事前にご理解いただいた上で、バージョンアップタイミングは相談の上決定できます。
余談になりますが、機能説明に伺った際にお客様から「そういえば別件で…」といったご相談をいただくことがあります。
年1回以上のバージョンアップは、お客様と直接お話しできる良い機会にもなっています。
NJC:加藤氏
ネオシリウス・クラウドの業務画面は、Chromeのようなブラウザから利用できます。
使用するユーザーごとにボタンや入力項目を出し分けられるので、担当業務や権限ごとに必要な機能のみを表示することが出来ます。
NJC:加藤氏
緑のボタンは、各機能ごとにわかれて業務を構成しています。
ができます。
たとえば、カウンター業務のみを行う「学生アルバイト」であれば「貸出」「返却」のボタンのみを画面表示するような設定が可能です。
NJC:加藤氏
青のボタンは、左のサイドメニューに常時表示され、いつでも各機能のトップ画面に戻ることができます。
FAQサイトへのボタンも設置されているので、もし操作に迷っても安心です。
NJC:加藤氏
各業務の入力画面では、必須入力項目を色分けして表示。 あらかじめ「初期値設定」を設定することで、不要な項目は非表示にすることが可能です。
Zenken:記者
不要な機能を非表示にできると、画面がすっきりして、操作のミスや入力漏れの防止にもなりそうですね。
NJC:加藤氏
ネオシリウスは、他にも豊富な業務機能を使いやすく搭載しています。
今回ご紹介しきれなかった点を含め、業務機能のポイントを資料にまとめました。
よろしければこちらもご覧ください。
Zenken:記者
図書館システム自体の機能やサービスの他に、使いやすい図書館のためにNJCが行っている、取り組みや、目指しているものはありますか?
NJC:加藤氏
新しい本に出会い、興味をもってもらうことが、図書館の利用促進に繋がります。
単に既存業務をシステム化する図書館システムとしてのサービス提供に留まらず、BOOK MARRY(書評アプリ)のように学習支援と読書推進をミックスした新サービスを開発しご提供しているのも、長らく産学連携などと通じて大学や図書館と協業してきた弊社ならではの成果といえます。
NJC:加藤氏
NJCは、産学連携に力を入れ、大学と協業して様々なイベントや企画を行っています。
大学の司書課程の授業(図書館情報技術論」など)に伺い講義を行ったり、大学へネオシリウス・クラウド自体を貸し出すような取り組みを通して、「リアルな今」の大学図書館の課題や要望を吸収し、サービスに活かしています。
NJC:加藤氏
利用者と本との出会い、本への興味をサポートするアプリ、「BOOK MARRY」。
これまでの図書館ポータルサイトからの情報発信に加えて、利用者同士の情報交換を通して、新しい本との出会いと興味を産み出します。
NJC:加藤氏
アプリ内の書評情報は、あえて学内のみに限定していることがウリ。
たとえば、学生の「〇〇先生の授業で役に立った」といったレビューや、教員の「この本は〇〇な理由から参照しないように」といったコメントは、一般のレビューサイトでは得られない、学内の情報資産として蓄積されます。
アプリは大学共通のアカウントでログインでき、これまでの図書館利用の延長で気軽に利用ができます。
もちろん大学図書館のOPACと連携しているので、誰かの書評から気になった本は、アプリからワンクタップで図書館の図書情報で詳細を確認できます。
Zenken:記者
職員や利用者にとって「使いやすい」図書館システムは、システムや機能が「誰のためのものか」を徹底的に突き詰めて実現するもののようです。
大学図書館との積極的なコミュニケーションを通して生まれる、NJCの改善やサービス。
「利用する人の顔」が見えるからこそ、図書館ごとの柔軟な提案を行ってくれます。
システム移行検討を機会に、自館の課題や、よりよい図書館運営について、相談してみてはいかがでしょうか。
システム導入前のヒアリング(アセスメント)で実際に図書館へ提出される「レポート」のサンプルです。
※すべてサンプル向けに業務範囲を絞った抜粋版です。
[PDF] NJCが図書館に現在の運用をヒアリングに使用する「アセスメントシート」(抜粋版サンプル)
[PDF] NJCが図書館に提出する「アセスメントレポート」(抜粋版サンプル)
[PDF] NJCが図書館に提出する「アセスメントレポートの別紙」(抜粋版サンプル)
ネオシリウス・クラウドの業務機能のポイントをまとめた資料(全8ページ)です。
[PDF] ネオシリウス・クラウド業務機能のポイント(2022年8月版)
会社名 | 日本事務器株式会社 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館 |
問い合わせ電話番号 | 050-3000-1508 |
URL | https://www.njc.co.jp/ |
導入形式 | クラウド |
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サポートサービス | クラウド運用サービス:24時間365日 図書館専任SEによる窓口対応サービス:月曜~金曜(祝日・年末年始を除く) AM 9:00~PM 5:30 |
システム動作環境 | 業務用クライアント:Google Chrome(Windows版)の動作するPCや仮想クライアント(シンクライアント、DaaS等)にて操作 利用者クライアント:標準的なWebブラウザ搭載端末にて操作(Edge、Chrome、Firefox、Safari等) |
バリエーション | 大学図書館、専門情報機関、企業図書館 ※「ネオシリウス・クラウド」から大学特有の機能を除いて価格を抑えた2つのサービス「ラボ」(主に博物館・美術館、研究機関等の専門情報機関向け)「ビジネス」(主に研究開発部門、調査部門を持つ企業向け) |
URL | https://www.njc.co.jp/neocilius/ |