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図書館システムの導入は、システムの種類や、導入施設の規模、予算などによって異なります。しかし、いずれの場合も、ポイントや流れを押さえていれば、特別難しいものではありません。
ここでは、図書館システム導入の基本的な流れについて、順を追って紹介していきます。
図書館システム自体は、パソコンにインストールすれば起動できます。しかし、実際に運用を開始するには、各図書館の運営計画に合わせた設定や登録、事前準備が必要です。
図書館システムを導入するにあたっては、事前にシステムに登録する蔵書を選別しておく必要があります。
古かったり、破損したりしている蔵書の整理や廃棄を行っておかないと、不要な蔵書までデータ化され、無駄な作業となってしまうためです。
既存蔵書の選別ができたら、システムに登録する蔵書をデータ化しやすいように整理しましょう。
図書館システムの契約ができたら、まずはパソコンにシステムをインストールします。必要に応じ、バーコードリーダーやページプリンタなどの周辺機器も揃える必要があります。
運用スタイルに合わせて、複数のパソコンを同期させるという形も可能です。この場合、どのパソコンからでも同じデータベースを利用できるようになるため、規模の大きな図書館や、利用者数の多い図書館などで有効な活用法といえるでしょう。
図書館運営のベースとなる重要なプロセスです。環境設定では、貸出冊数、期間などの基本的事項や、蔵書管理のルールを設定し、しっかりと確認する必要があります。
特に、蔵書管理については、システム導入前の台帳の取り扱いや関連付けがポイントです。図書館システム導入後の管理方法とあわせて、運営・運用にとってベストな方法をとるようにしましょう。
図書バーコードは、システムを経由して自前で印刷する方法と、印刷業者に外注する方法があります。
バーコード印刷前には、桁数や付番をよく検討することが大切です。特に、付番は将来的なシステム拡張の可能性を考慮して決めましょう。また、図書館システムでは、利用者バーコードも作成します。桁数は自由ですが、重複や誤認を避けるため、図書バーコードとは異なる桁数に設定するほうがよいでしょう。
印刷した図書バーコードを、登録するすべての蔵書に貼り付けます。貼り付ける際は、なるべく同じ位置になるように意識しましょう。図書バーコードの位置が揃っていると、蔵書点検がスムーズに進められます。
一般的な貼り付け位置は、背表紙を左にして置いた状態で、右側と下側を2cmずつ空けた位置、あるいは下側から2cm空けた中央寄せです。
図書バーコードの装備が完了した蔵書から順番に、図書館システムへデータを登録。蔵書の図書バーコード番号や所蔵場所などの情報を入力し、システム上の請求記号と蔵書の背ラベルを揃えます。
所蔵変更はシステム導入時に最も手間暇がかかる作業となるため、なるべく多くの人手を確保して行うとよいでしょう。
図書館の利用者をシステムに登録します。学校図書館の場合は、学籍名簿や職員名簿などからデータを取り込むと便利です。取り込んだデータをもとに、利用者バーコードを作成します。個人のほか、クラス貸出用、相互貸借用などのバーコードも準備しておくとよいでしょう。
公共図書館の場合は、学校図書館と違い各種名簿がないケースが多いため、利用申込書を使って、随時利用者データを取得していくのもひとつの方法です。
図書館システムの最終チェックを行います。システムの操作確認や利用者台帳印刷など、図書館運営に関わるすべての事項を確認しましょう。
特に、毎日稼働する貸出・返却など対人的な業務に関わるシステム操作については、事前シミュレーションをしておくと安心です。
いよいよ図書館システムの運用を開始します。運用当初はシステムに不具合が発生していないかを確認しながら業務を進めていきましょう。
問題なくシステムが稼働していることが確認できれば、図書委員の児童・生徒による貸出・返却も可能です。
近年、図書館システムをパソコンにインストールするオンプレミス型でなく、クラウド型による導入が多くの図書館で採用されています。
クラウドとは、クラウドベンダーが用意したシステムをネットワーク経由で利用するサービスであり、有料のサービスや無料のサービスがあります。サーバーやパッケージソフトなどを自社で保有しないため手軽に利用できます。
クラウドの身近な例としては、GmailやGoogleドライブ、Yahooメール、WordPressなどのサービスがあります。
クラウドの大きな特徴は、自社でサーバーやパッケージソフトを保有しないことによる利便性です。
現在、公共図書館や大学図書館の多くが業務委託で運用されています。図書館システムがクラウドの場合、操作性が高く利用しやすいため、ITスキルがそれほど高くない方でも利用しやすく、委託スタッフの方々がスムーズに運営できます。
また、自社でシステムを用意する必要がないため、初期費用が安く済む特徴があります。不具合などの対応や仕様の変化もシステム側が行うため、管理の手間を省けるメリットもあります。
一方、クラウドにもデメリットはあります。インフラ全体がベンダーの管理下にあることから、ユーザー側は直接管理ができません。
オンプレミスと比べた場合、全体的に自由度が低い点がクラウドのデメリットになります。
カスタマイズに限界がある、システム内の情報をベンダーに公開せざるをえない、利用できない機能があるなど、そうした点がクラウドのデメリットです。
クラウドでの図書館システムの導入はスムーズに行われます。
クラウドはネットワーク(基本的にはインターネット)上にサーバーとデータを置いてサービスを提供する形態です。そのため、利用側はパソコンなどの端末とインターネットにつながる環境だけ用意すれば、システムの申し込みに関する決済が終わり次第、すぐに導入できます。オンプレミスと比べて機動性が高いため、導入決定から早い段階で導入することが可能です。
システムはネットワーク上で使用しますが、利用側の規模や要望にあわせて、ベンダーが本番環境・テスト環境などそれぞれを整備していき、システムが導入されます。
クラウドでは、オンプレミスが必要とするサーバー機器の購入などが不要なため、初期費用をほとんどかけずにシステムを導入することができます。
クラウドの利用料金は月額制が一般的ですが、多くのシステムでは使用する量で変動する従量制を採っています。そのため、月によってはランニングコストが高くなる場合もあります。ただしシステム管理はクラウドベンダーが行うため、利用料金以外のランニングコストは安く抑えることができます。
クラウドサービスでは、基本的なセキュリティ機能は開発ベンダーから提供されます。基本的に利用側がソフトウェアに対するセキュリティ対策を取る必要はなく、クラウド自体のセキュリティは開発ベンダー側が責任を負います。
ただし、クラウドで取り扱うユーザーデータやID、パスワード、クライアントデータなどはユーザー側が責任を負うため、これらの情報セキュリティはユーザー自身が行う必要があるので注意が必要です。
図書館システムの導入には、ある程度の準備期間が必要ですが、特別な知識や技術を持ち合わせていなくても、簡単に導入可能です。
図書館システムの導入は、貸出・返却、蔵書検索などがスムーズになることはもちろん、図書管理全体の効率アップも期待できるでしょう。
図書館の種類によって利用者の求めるサービスや情報の範囲が異なります。例えば、公共図書館では貸出・返却処理の効率化が重要であり、大学図書館では学術的な検索機能やリポジトリ管理が求められます。
適切な図書館システムを選ぶことは、図書館の運営効率化だけでなく、利用者の満足度向上や継続利用につながります。
当サイトでは、図書館の種別ごとに人気システムを調査し、掲載していますので、導入の参考にしてください。