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無線ICタグ(RFID: Radio Frequency Identification)は、電波を利用して非接触でデータの読み書きが可能な技術です。図書館で使用されるICタグには、書籍の管理番号や分類コードなどの情報が記録されており、アンテナと専用の読取装置(リーダライター)を使用してデータを読み取ります。
ICタグは電源を必要としないパッシブ型と内部に電池を持つアクティブ型に分類されますが、図書館では主にコスト面や長期使用の観点からパッシブ型が採用されています。
バーコードと比較したICタグの主なメリットは、以下の通りです。
ICタグ導入には、いくつかの課題も存在します。
三鷹市立図書館では、2004年に中央図書館でICタグシステムを導入し、その後、全館に展開しました。導入により、利用者による自動貸出機の利用率は99%以上と、カウンター業務の大幅な効率化を叶えています。
また、蔵書点検作業も従来の10分の1以下の時間で完了できるようになりました。
国立国会図書館では、2005年から一部資料にICタグを導入し、業務の作業時間短縮と、利用者へのサービス内容拡充に取り組んでいます。特に、貴重書や利用頻度の高い資料に対して優先的に導入が進められ、資料の所在確認や蔵書点検の迅速化に貢献しています。
千葉市図書館では、2025年に導入予定の次世代図書館システムにおいて、ICタグを活用した自動貸出機の増設と、クラウド型のビッグデータ解析システムを組み合わせた先進的なサービスを計画しています。
利用者の行動パターンや蔵書利用状況を分析し、利用傾向に応じた蔵書構成や配置の見直しを検討しています。
東京・町田市の図書館では、ICタグを活用した蔵書整理ロボット「LibRobo」を導入しています。このロボットは夜間に自動で書架の間を移動し、ICタグを読み取ることで蔵書の配置ミスを発見します。従来は多くの人手と時間を要していた蔵書点検作業の効率化が図られています。
図書館におけるICタグ技術は、単なる業務効率化だけでなく、利用者サービスの質向上にも大きく貢献しています。今後は、より高度なデータ分析やAI技術との連携により、さらに進化していくことが予想されます。図書館システムについてさらに理解を深めるには、基本的な仕組みやシステム選定のポイント、共同利用のメリットなども確認しておくとよいでしょう。
詳しくは「図書館システムの基礎知識」ページもご覧ください。
図書館の種類によって利用者の求めるサービスや情報の範囲が異なります。例えば、公共図書館では貸出・返却処理の効率化が重要であり、大学図書館では学術的な検索機能やリポジトリ管理が求められます。
適切な図書館システムを選ぶことは、図書館の運営効率化だけでなく、利用者の満足度向上や継続利用につながります。
当サイトでは、図書館の種別ごとに人気システムを調査し、掲載していますので、導入の参考にしてください。